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2016/1/25 UPDATE

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研究って難しいけど、おもしろい。 ――東工大生に新しい視点を提供するLANDFALL編集委員会・委員長の社会貢献論

[ PROFILE ]

勝俣真綸(かつまたまりん)
1995年生まれ。東京工業大学工学部無機材料工学科2年。LANDFALL編集委員会委員長。


社会に役立つことを追求し続けたい

高校時代から、理系科目が大好きだった勝俣氏。高校生の時から、「社会に役立つことをしたい」という思いを持っていたと当時を振り返る。

「理系科目が大好きで、物理や化学に関することを研究していきたいなと考えていました。『なんでこの現象が起こるんだろう』と、物事を突き詰めて考えることが好きでした。また、研究し物事を突き詰めるだけでなく、社会に応用したいと考えるようになり工学部に進むことを考えました。
当時、大学を選ぶ際、東工大が『研究を通して社会貢献をする』というビジョンを掲げている点に、共感を覚えました。この時、私が行きたいのは東工大だと決めたんです。
高校生時代は勉強漬けの毎日でした。『将来、社会貢献したい』そんな思いを達成するため、東工大に合格するためにひたすら勉強をしていました。」

東工大に入りたい。勝俣氏の努力は実を結び、第一志望の東京工業大学工学部に見事合格した。

LANDFALLは、東工大の合格者に大学生協から配布されている。勝俣氏も、東工大に合格が決まってから入学する前にLANDFALLの興味がある分野を読み、『けっこうボリュームもあり難しいけど、とても面白い』という印象を持っていたそうだ。
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知的好奇心を刺激されるLANDFALL編集委員会との出会い

東工大合格後、様々なサークルの勧誘を受け、LANDFALL編集委員会に所属することを決める。サークル選びにも、強いこだわりを持っていいた。

「ちゃらちゃらしたサークルには、入りたくないなと思っていました。もちろん、遊ぶことも大好きですが、遊びならサークルに入らなくても出来るのではないかと考えていました。そんな時、偶然知り合ったLANDFALL編集委員会の先輩から良い刺激を受けました。これまで、大学に合格することが大きな目標だった私は、次の目標の設定方法が分からず道に迷っていたんです。そんな時、LANDFALL編集委員会の先輩に、大学のことについて詳しく教えていただき、研究室選択の難しさも教えていただきました。LANDFALL編集委員会は研究室を紹介している団体です。LANDFALL編集委員会に入れば、自分の目標設定のために、興味のある分野の知識を手に入れることができるだけでなく、自分の興味の幅を広げることが出来ると確信し所属を決めました。」

研究の知識を広める方法は、ホームページや教授の論文を読むことで可能にも見えるが、難解な専門用語や専門知識を必要とするため、学部1・2年生にとって、将来入りたい研究室を考えることは難易度が高い。学部1・2年生にも理解できるような内容を目指して作成されているLANDFALLは、学生に東工大でどんな研究をしたいのかを見つけるきっかけを与える存在である。東工大でどんな研究をしたいのか見つけるためには、LANDFALL編集委員会に所属することがベストな選択であった。

LANDFALL編集委員会で試行錯誤の日々

現在、勝俣氏はLANDFALL編集委員会・委員長を務めている。LANDFALL編集委員会は、学部1・2年生で構成され、統括は学部2年生が行っている。メンバーは44人おり、委員長が1人、副委員長が2人いる。勝俣氏は委員長としてLANDFALL編集委員会、全体の活動を取りまとめている。

「LANDFALL編集委員会には、いろんな属性のメンバーがいます。例えば、誰かに文章を発信したい、ライター志望のメンバーです。理系を専門にすると、論文は書きますが、誰かに伝える文章を書く機会は少なくなってしまうからです。他にも、読書が大好きなメンバー、文章を書くことが苦手だからあえて挑戦に来たメンバー、文章の補助となる図を描いたりレイアウトを考えたりすることが好きなメンバー、典型的な理系で自分の興味のある分野をさらに知りたいと考えているメンバーなど様々です。私も、本を読むことや文章を書くことは、得意ではありませんでしたが、他の人の文章を読み、一緒に文章を推敲していくプロセスは、学べることが多く、とても楽しいです。」

しかし、記事を書き上げるためには相当の労力を要する。

「記事を1本書き上げるまでに、半年くらいかかります。LANDFALLは研究室の情報を学生が噛み砕いて発信しているのですが、どこまで噛み砕いて記事を作るかが難しいんです。

簡単に記事完成までの、流れを紹介いたします。
①主筆というメインのライターが、これまで取材をしていない研究室で興味や関心のある研究室にアポイントメントをとります。
②取材する研究室が確定したら、主筆と主筆をサポートするメンバーで5〜7人程度のグループを作ります。
③アポイントメントの確定後、取材に行く研究室の分野に関してグループで勉強会を行います。
④勉強会を重ねた後、取材に行きます。
⑤取材終了後、主筆が記事を書き上げます。
⑥書き上がった記事に対して、メンバーからアドバイスをもらい、主筆がそれを反映し、またアドバイスをもらう、ということを繰り返していきます。このときに、文章の構成の確認・難しい用語の解説・どこまで難しい現象を説明するか・図の配置などについても決めていきます。
⑦何度も推敲を重ね記事の完成です。

教授の研究内容を分かりやすく、正しく説明し、教授の意向も反映された文章を書き上げなければなりません。分からないことばかりなので、教授に取材後に質問に行くこともあります。記事を作り上げることは大変ですが、多くの研究室は快く取材を受けてくれるため、研究内容だけでなく、研究室の雰囲気を知ることもできます。自分の専攻とは異なる分野を研究している教授ともフランクにお話ができる機会もあり、とても刺激的です。」

委員長としての責任感

LANDFALL編集委員会は、東工大の学生に対して、研究の情報を分かりやすく発信し、学部1・2年生の研究室選びをサポートしている。

勝俣氏は、LANDFALL編集委員会委員長として、自身の活動に対する責任感の強さを熱く語った。

「現在は、委員長の立場なので、取材や記事の執筆に加えて全体をまとめる業務が多いです。常に、みんなが活動しやすい場を追求しています。何か問題が発生した時に、自分がサポートし解決された時は、委員長のやりがいを実感しますね。

わたしは、『トップの人がやっていなかったら周りの人もだらけてしまう』と考えています。主筆としての記事の執筆、メンバーとしての記事チェック、サークル全体の活動、全てにおいて常に責任感を持ち、行動で示すようにしています。」

LANDFALL編集委員会の成長を加速させるために

LANDFALL編集委員会の将来について、委員長である勝俣氏が今後の展望を語ってくれた。

「LANDFALLの文章はまだまだ、難易度が高いと言われがちで、読むことに抵抗を感じている人が多いんです。このイメージは払拭させたいです。研究の専門的な知識を噛み砕いて学生に分かりやすく発信しながら、教授や研究室の紹介を充実させることは本当に難しいです。でもここは、LANDFALL編集委員会の腕の見せ所だと思います。さらに東工大生から必要とされる、LANDFALL編集委員会に成長していきたいと考えています。

その取り組みの第一歩として、大学教育改革に関してLANDFALL編集委員会のメンバーが、記事を書いている。大学教育改革とは、2学期制からクオーター制になり、条件を満たせば3年~3年半で大学院に行くことの出来るシステムである。しかし、時間割やカリキュラムが大きく変わるため、たくさんの学生が混乱している。

「大学教育改革について分からないことばかりで、不安な学生が多いという声を各所から聞きました。不安な学生のために、LANDFALL編集委員会が大学教育改革を分かりやすく紹介し、少しでも東工大生の力になろうとしています。」

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これからの私の目標

現在、学部2年生の勝俣氏は、来年3月にLANDFALL編集委員会を引退する。現在は、LANDFALL編集委員会の活動全体を取りまとめながら、後輩の教育にも力を注いでいる。

「LANDFALL編集委員会では、記事の書き方・レイアウトの技術・様々なノウハウは、代々先輩が築いてくださったシステムを引き継ぎ、利用させていただいています。このシステムは後輩にもしっかり引き継いでいきたいと思います。今年からは引き継ぎの時期を早め、半年かけて後輩にしっかりと引き継いでいく予定です。」

最後に、勝俣氏は自身の夢を語ってくれた。

「これまでは、LANDFALL編集委員会にかけていた時間が多かったため、引退後はだいぶ時間が取れると思います。自分の興味のある分野を学びながら、他の興味のある分野の勉強もしてみたいと考えています。
高校生の時に持った興味を大切にしながらも、LANDFALL編集委員会で培った広い視野を大切に、自分が最も熱中できる最善の場を探している最中です。」

将来は、研究職に就くか、他の分野を考えるかもまだ分かりません。今は、突き詰めたいことを突き詰めるために、いろんな情報が欲しいです。」

勝俣氏の、「社会に役立つことをしたい」というブレない思いは常に一貫していた。東工大では、LANDFALL編集委員会の活動を通して、すでに高校時の目標であった社会貢献を1つ達成している。今後の勝俣氏の活躍に期待したい。

(取材・執筆:田崎莉奈)

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